沖縄県土地整理法(明治32年第59号)に基づき作成された沖縄本島及び周辺離島の公図、公簿類は去った大戦によって焼失してしまいました。
米軍は占領政策を遂行するうえで土地所有権を中心とする公図、公簿類の早急な再製の必要性から布令、布告等を次々に発し、公有地及び私有地の土地所有権を確定するための土地所有権認定作業(1946年~1951年)が行われました。
この所有権認定作業時に、何らかの事情により所有者から申請のなかった土地、申請はされたが所有権証明書の受領がなかった土地、所有権証明書を受領したが土地登記所への登記申請がなされなかった土地が所有者不明土地となり現在に至っています。
こうした所有者不明土地については「沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律」第62条の規定に基づき沖縄県がその管理を行っています。ただし土地の地目が「墓地、社寺用敷地、霊地、聖地」等に属する場合は当該不明土地の所在する市町村が管理を行っています。
日本で唯一、地上戦があった沖縄県では第二次世界大戦の影響で、尊い命だけではなく多くの戸籍や登記簿、権利証も焼失してしまうという被害に見舞われました。
一家が全滅してしまったり、子供たちだけが生き残ったためにその存在を知らなかったり、県外や海外に移り住んでしまったり…といった様々な理由から誰の土地か分からなくなってしまった場所がまだまだたくさんあります。
沖縄県のリンクを見てもピンときませんが、沖縄セルラースタジアム那覇が30個分という数字を見れば、その広さと多くのトラブルの引き金になっているんだろうな〜と想像します。とても難しい問題です。
- 参考
- 所有者不明土地の管理(沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律 第八章第二節)– 沖縄総合事務局
- 裁判経ず所有権認める/県管理の所有者不明土地(琉球新報)
- 新たに粟国村で22件判明/所有者不明土地(琉球新報)
- 所有者不明土地 「国の責任で解決を」(沖縄タイムス)
- 所有不明なお80ヘクタール 横たわる沖縄戦負の遺産(沖縄タイムス)
ピンバック: 沖縄戦起因の所有者不明土地について国が調査。 | 喜屋武孝清 司法書士事務所